顎関節症には可逆的保存療法が
推奨されている文献を前回紹介したが
具体的には認知行動療法やマウスピースなどがある。
マウスピースはともかく
「認知」・「行動」・療法は
イメージしずらいのではないでしょうか。
医科では摂食障害や不眠症、うつ病などの分野で
既に応用されている治療法で
これはかの「心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる・・・」
の格言と同じことを目標としている。
まずは患者さん自身が現状を正しく認知する
ことから始まる。
例えば、歯軋りや頬杖やあくびや咬み癖など
顎関節に負荷を掛け得る日常の癖を
あるがまま自覚し、それらを減らすよう
行動に移すこと…
言葉にするのは簡単だが
実践するとなると容易ではない。
冒頭の言葉が格言となっている様に
それが出来れば苦労はない
根気や工夫が必要になる。
しかし、その先の効果はエビデンスで
実証されている。
Short- and long-term efficacy of brief cognitive-behavioral therapy for patients with chronic temporomandibular disorder pain: a randomized, controlled trial.
では、顎関節症による慢性疼痛患者に対して
認知行動療法を行った79人と、そうでない79人で比較
している。
顎関節症による痛みや日常生活の活動の不便
また顎機能や抑うつ症状について
1年掛けて調査した所
全ての項目で認知行動療法を行った群の方が
意義のある改善を認めている。
1年という通常の歯科治療にはない
長期間を要するが
他の保存治療法と組み合わせることで十分効果を
期待出来るものである。