今回は senkou 封鎖について。
歯は内部の歯髄(神経)が生きていれば
歯髄表層の細胞(象牙芽細胞)によって
内側に歯が作られ続け、硬組織の厚みを
増すことが出来る。
第二象牙質と専門的に呼ばれているものだ。
ところが、虫歯が進行して細菌感染したり
歯が深く割れてしまうと、歯髄を取らなければ痛みが
治まらないケースがある。
やむを得ないことだが、それにより内部の
象牙芽細胞も一緒に取り除かれることになるので
以後歯は内側に作られることは無くなる。
虫歯など何かあれば減る一方になり
消耗品へ変化してしまうとも言える。
その果てが、薄くなり続け骨まで通じる穴が開く
「穿孔」と呼ばれる状態。
怖い話だが、希望は残されている。
現在はそうなった時の治療法も研究・臨床応用が
進んできている。
今回の文献では、この穿孔を封鎖した信頼できる論文
12本の データを統計にかけている。
すると、穿孔封鎖の成功率は72.5%
更にMTAセメントと呼ばれる特殊な薬を用いた場合には
80.9%だったとのこと。
また成功率に影響を与えるものとして
上顎は下顎よりも成功率が高く
また術前にレントゲン写真で黒く透過像がないケースは
透過像があるケースより成功率が高いとのこと。
今回の解析の条件として
経過観察期間が1年以上という制約があり
5年・10年などより長期の予後についての
研究が期待されるが
ケースによっては穿孔していても歯を救える可能性が十分あり
当院でも積極的に取り入れていきたい。
参考文献
Treatment Outcome of Repaired Root Perforation: A Systematic Review and Meta-analysis.
J Endod. 2015 Nov;41(11):1795-804.