今回は歯周病ブログ㉞に関連したもので
歯周病の歯を全て抜歯すれば歯周病菌が
口腔内からいなくなるか、ということを
口腔内の唾液や粘膜から試料を採取して
培養法とPCR法で調べている。
㉞では歯が1本もない患者にインプラントを埋入した所
10年経過症例で約2割のインプラントに
インプラント周囲炎が認められ、歯周病菌の
存在が示唆された。
今回の研究では抜歯前後の菌の存在を直接調べている。
30名の、重度の歯周病に罹患している歯しか
残っていない患者に対して
抜歯前、また全てを抜歯した後1ヶ月後・3ヶ月後に
歯周病菌を調べている。
結果は、侵襲性歯周炎の原因菌のA.a菌は
培養法では抜歯前に4名から検出され
1ヶ月後には1名に、3ヶ月後には0名だった。
しかしPCR法では、抜歯前は同じ4名から検出されたが
1ヶ月後及び3ヶ月後には1人から検出された。
他、P.g.菌やT.f.菌などについても調べられているが
3ヶ月時点で必ずしも全ての人の口腔内から菌が
消失しているわけではないという結果だった。
前提として、細菌検査には限界(検出限界)があるので
菌がいるにも関わらず少量の為検出できないこともあれば
生菌ではなく死滅した菌も検出されることもあるので
その菌が実態より多くいる様に見えてしまうこともある。
それでも、歯周病菌を口腔内から100%の予知性をもって
排除していくのは容易ではないことが分かる。
抜歯をしても口腔内には歯周病菌が
存在しているものと考えるに越したことはなく
特にインプラント治療を引き続き行う場合には
プラークコントロールが重要だと言える。
参考文献
de Waal YC1, Winkel EG, Raangs GC, van der Vusse ML, Rossen JW, van Winkelhoff AJ.
Changes in oral microflora after full-mouth tooth extraction: a prospective cohort study.
J Clin Periodontol. 2014 Oct;41(10):981-9.