歯が失われたとしても、義歯を装着することによって
患者さんのQOLが損なわれることなく
快適に生活をしてもらえる様にすることが
義歯を通じた歯科治療の私の目的です。
一方で
骨の吸収が進行し、義歯が乗る顎堤が
平らになっている場合や
物を飲み込む嚥下機能の低下があったり
舌や頬や口唇など口腔周囲筋の機能の低下があると
以前歯が有った時と同じ様な食事をすることが
困難な場合も現実にはあります。
そんな時は
義歯には材質だけとっても種類がありますし
外科的な欠損補綴治療もありますので
別のアプローチから歯科治療を受けることも有効です。
また、それとは異なり食事に目を向けて
調理に一工夫を加えることで、
栄養に偏りが無く、健康的で美味しい
新たな食生活をスタートさせることも出来ます。
今回の文献はそんなテーマです。
展開食と言いますが
一つの献立に対して咬み易さに違いを設けていく
.
具体的には普通食、刻み食、五分粥食、三分粥食
.
ならびにミキサー食の5種類に食形態を
.
変化させ、現状の咀嚼・嚥下機能に最も適したものを
.
選択し調理する食事の方法について述べられています。
.
この優れている点は一つの献立の形態を変える際
.
出来る限り同一食品を用いたまま行いますので
例えば5分粥食になったからといって
摂取出来る栄養素のバランスはほとんど変わらないことです。
朝昼夜・間食と具体的にメニューが考案されていて
参考になりました。
患者さんの嗜好に寄り添い
かつ栄養にも優れた展開食を提案できるように
勉強を継続していこうと思います。
引用文献
総義歯使用者の食事・栄養指導に関する研究
日本補綴歯科學會雜誌 37(4), 843-857, 1993-08-01