外科手技は日進月歩。
今回は意図的再植術について。
根管治療を行っても炎症が続く場合には
外科治療が有効な場合がある。
歯を極力温存する場合には2種類方法があり
1つは歯の根の先端部(細菌が特に残存しやすい部分)
を切除する歯根端切除術
もう一つは、その歯を一度完全に抜歯して
お口の外で先程の根の先端部等病変部を
処置する意図的再植術がある。
今回の文献は後者について。
成功の鍵は抜歯によって歯と骨の間にある歯根膜という
細胞層を出来る限り傷付けず温存することだが
それを目的として、外科処置前に予め
ブラケットを装着しておき
患歯に上に引っ張ろうとする
(挺出)力を加えておく方法がある。
矯正治療を応用した物だが、これを行うことで
患歯の動揺が増し、また歯根膜の量も増える為
抜歯が容易になり、結果的に外科処置後の
歯周ポケットやアンキローシスを防ぐことが出来る
可能性がある。
287歯について、このことを後ろ向きに調査した所
外科処置前に2~3週間挺出力を加えておいた群は
成功率が94.4%だったのに対し
挺出力を加えていない群は83.2%だった。
患歯の両隣りに、ブラケットとワイヤーを装着して
加わる矯正力に耐えられるだけの歯が有れば
術前に挺出力を掛けることは有効であると思われる。
参考文献
Choi YH1, Bae JH, Kim YK, Kim HY, Kim SK, Cho BH.
Clinical outcome of intentional replantation with preoperative orthodontic extrusion: a retrospective study.
Int Endod J. 2014 Dec;47(12):1168-76.